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セミナー

2018年度自然災害リスクセミナー

自然災害研究の最前線
~異常気象を理解し、気象災害に備える~

2018年11月26日、東京・大手町にて自然災害リスクセミナー「自然災害研究の最前線 ~異常気象を理解し、気象災害に備える~」を開催しました。今年は、平成30年7月豪雨や台風21号、24号をはじめ、多くの気象災害に見舞われたこともあって各方面のご関心も高く、当日は260名以上の方にご参加いただき、大変盛況なセミナーとなりました。以下、講演の概要をご紹介いたします。

開催日時・会場

会場の様子

会場の様子

  • 日 時
    2018年11月26日(月)13:30~17:00
  • 会 場
    経団連会館国際会議場
  • 主 催
    株式会社東京海上研究所、東京海上日動火災保険株式会社

講演等の概要

基調講演地球温暖化がもたらす極端気象の増加
東京大学大気海洋研究所 教授・副所長 木本 昌秀 氏
木本 昌秀 氏

講演内容

IPCC報告書でも示されているとおり、地球温暖化は進行中であり、日本の年平均気温は100年で1.2℃近く上昇している。気温が1℃上昇するごとに大気中の水蒸気量は7%増加することになり、今夏の豪雨にはこの温暖化の寄与があったと考えられる。今後、温暖化が進行すれば、より極端な降雨現象の発生頻度が増加し、強い台風の割合も増えることが予想される。温暖化の進行を止めるにはゼロエミッションの早急な実現が必要であることをあらためて認識すべきである。災害への備えという点では、近年、気象予報も高度化してきており、それらを日頃から活用することが重要となる。

講演①異常気象による災害リスクを気象情報で軽減する
気象庁地球環境・海洋部気候情報課長 前田 修平 氏
前田 修平 氏

講演内容

平成30年7月豪雨やその後の猛暑では、大気・海洋の自然変動に加えて、温暖化による気温の上昇と水蒸気量の増加も寄与した。21世紀末には猛暑日数は20世紀末より全国平均で約20日増え、大雨の頻度も増加すると想定される。一方、気象庁は、利用者の意思決定に使いやすく、避難に直結する情報の提供を進めており、2週目の予測の精度も上がっている。地球温暖化と、それにより高まる災害リスクに対しては、気象情報を活用した適応が重要。気象庁も、来年には2週間気温予報を開始するなど、予測の高度化や使いやすい情報の提供を通じて、気象災害リスク軽減の取組を進めていく。

講演②龍ケ崎市の気象災害への備え
~取組の現状、課題及び今後の展望~
龍ケ崎市長 中山 一生 氏
中山 一生 氏

講演内容

龍ケ崎市では、過去の災害の経験から、災害による被害をゼロにするための取組を進めている。具体的には、専任の危機管理監の設置、気象予報士活用モデル事業とそれに続く気象防災アドバイザーの委託事業、空振りを恐れない避難勧告等の発令、マイ・タイムライン策定などであり、これらの防災・危機管理の取組は、他の自治体においても有用と考えられる。避難勧告・避難指示を行っても、過去の経験を踏まえて「避難をしない」という判断をする住民も多く、新しいステージに入った気象災害に対応するためには、住民ひとりひとりに合った「マイ・タイムライン」の作成が重要である。

以上