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セミナー

2019年度自然災害リスクセミナー

自然災害研究の最前線
~地震リスクと企業・自治体に求められる対応~

2019年11月18日、自然災害リスクセミナー「自然災害研究の最前線 ~地震リスクと企業・自治体に求められる対応~」を開催しました。当日は190名以上の方にご参加いただき、大変盛況なセミナーとなりました。以下、講演等の概要をご紹介いたします。

開催日時・会場

会場の様子

会場の様子

  • 日 時
    2019年11月18日(月)13:30~17:15
  • 会 場
    イイノホール&カンファレンスセンターRoom A
  • 主 催
    株式会社東京海上研究所、東京海上日動火災保険株式会社

講演等の概要

基調講演巨大地震災害の予測・防御・対応
東京大学地震研究所教授・地震予知研究センター長
国立研究開発法人 防災科学技術研究所・首都圏レジリエンス研究センター長
一般社団法人 防災教育普及協会 会長 平田 直 氏
平田 直 氏

講演内容

首都直下地震がひとたび発生した場合、死者約2.3万人、全壊・全焼失約61万棟、経済への損失額も少なくとも100兆円規模の被害が生じ、南海トラフ地震とともに何も対応を講じなければ国難になる可能性がある。災害を予防するためには、社会全体で、災害を理解し、事前~事後の対策に取り組む、いわゆる「防災リテラシー」の向上が求められる。地震学の成果である南海トラフ地震における臨時情報も活用しつつ、できることからするという姿勢が必要である。事業者においては、施設の耐震化や応急対策から復旧・復興までを含めたBCPの作成を進めることが重要である。

講演巨大地震発生。そのとき企業はどうするか
~事業継続、地域のレジリエンスなど~
内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当) 中尾 晃史 氏
中尾 晃史 氏

講演内容

首都直下地震については、首都直下地震対策特別措置法や首都直下地震緊急対策推進基本計画等に基づき、行政として具体的な対策を講じている。事業者における対策のうち、BCP策定はまさに経営の一部と考えるべきである。BCPは大企業で6割、中堅企業の3割強が策定済であるが、中小企業においては策定が進んでいない状況にあり、政府としても、中小企業強靭化法の認定制度などによって推進を図っている。BCPの策定においては、損失額の推定に基づく優先業務の特定や、業務ごとの回復時間を踏まえたものとすることが重要で、作成後は訓練・検証を重ね、常に見直しを図ることが必要である。

パネルディスカッション企業・自治体における地震リスクへの備えを考える
モデレーター
平田 直 氏東京大学等
パネリスト
中尾 晃史 氏内閣府
竹内 規雄 氏東京都総務局総合防災部事業調整担当課長(帰宅困難者対策担当)
山梨 慶太 氏日産自動車株式会社コーポレートサービス統括部担当部長(BCP/SECURITY)
青島 健二 氏東京海上日動リスクコンサルティング株式会社ビジネスリスク本部主席研究員
  • 竹内 規雄 氏

    竹内 規雄 氏

  • 山梨 慶太 氏

    山梨 慶太 氏

  • 青島 健二 氏

    青島 健二 氏

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

講演内容

パネリストからそれぞれ取組紹介を行った後、「自組織内での備え」「企業の地域支援」をサブテーマとしてディスカッションを行った。
「自組織内での備え」については、日産自動車株式会社の山梨氏から、人命安全・地域貢献・事業継続といった地震対策の3つの基本方針について説明があった後、事業継続に関して、在庫確保・代替生産・被災工場の早期復旧の三位一体でのBCP策定、サプライヤーも含めたリスク管理や自己診断、復旧フェーズに及ぶロールプレイ訓練等の具体的な取組の紹介があった。また、BCP策定の推進に関して、内閣府の中尾氏から、地域や業界単位での策定推進等、国の取組の方向性について説明があり、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社の青島氏からは、コンサルタントの立場から企業のBCP策定における具体的な課題について紹介があった。
「企業の地域支援」については、山梨氏から、電気自動車の被災地への提供や横浜市との協定に基づく一時滞在施設としての本社屋の利用について、具体的な取組と課題の説明があった。東京都の竹内氏からは、発災後72時間の一斉帰宅抑制の重要性や、一時滞在施設の確保に向けた民間企業の協力の必要性についての言及があった。
モデレータの平田教授からは、「企業が事業を継続することは地域を支援することにも繫がる。パネリストの話も参考に、各企業はBCP策定等の地震対策を講じていただきたい」旨の総括コメントがあった。

以上