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研究員ブログ

TMRI ColumnNo.19

水文・水資源学会にて研究成果を発表

今回は9月に開催された、水文・水資源学会(9月9日~11日 首都大学東京 南大沢キャンパス)の模様を紹介したいと思います。東京海上研究所では、2013年から毎年本学会にて水災リスク研究の成果を発表しており、今年で3回目の発表となりました。学会開催日は初日に台風が接近し、非常に激しい雨が降る中でしたが、各日300人を超える研究者が参加する、盛況な学会となっておりました。

「水文・水資源学会」は「すいもん・みずしげんがっかい」と読み、生命の維持や人間の社会的・経済的活動に必要不可欠な「水」に関する研究について、従来はそれぞれの分野(地球物理学、気象学、地質学、地理学、土木工学、農業工学、林学、砂防工学、衛生工学、人文科学など)ごとに研究が進められていたものを、より効率的に研究推進するため、それぞれの分野の成果を取り扱う共通の場を設定することを目的に、1988年に設立された学会です。

一般的には将来の温暖化により豪雨事例が増加すると言われていますが、当研究所は、地球温暖化が水害、特に洪水リスクにどのような影響があるかを研究しています。今回は「分布型流出モデルによる荒川および淀川の洪水リスク評価」という題目で、荒川および淀川を対象として、将来の温暖化によって、豪雨時の降水量および堤防が決壊した時の洪水リスクがどの程度増加するのかについて研究した内容を発表しました。

  • 会場の様子(休憩中)

    会場の様子(休憩中)

  • ポスター発表者(永野)

    ポスター発表者(永野)

また、学会において他の研究者の発表も聴講しましたが、興味深い研究が多数ありました。
例えば、短時間で非常に激しい雨をもたらす「ゲリラ豪雨」について、発生のきっかけとなる現象を「ゲリラ豪雨のタマゴ」と呼び、その現象を解明する研究報告がありました。この研究により、ゲリラ豪雨の予測精度が向上し、それに伴い避難誘導体制が整備されれば、今後多くの人命救助に貢献するものと考えます。

  • ポスター発表の様子1

    ポスター発表の様子1

  • ポスター発表の様子2

    ポスター発表の様子2

東京海上研究所では、100年後も人々が安心して安全に暮らせるよう、中長期的な観点からの研究を行っております。今回発表しました水災リスク研究も、21世紀末の地球温暖化が洪水リスクにどのような影響を与えるのかを研究したものです。

今後も社会の人々にどのように役立てられるかを日々考えながら、研究を継続していきたいと思います。

執筆者主任研究員 永野 隆士