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セミナー

2020年度オンラインセミナー

新型コロナウイルス感染症の現状と今後の見通し

2020年11月4日、オンラインセミナー「新型コロナウイルス感染症の現状と今後の見通し」を開催しました。当日は全国から約350名の方にご参加いただき、多くの質問も寄せられるなど、大変盛況なセミナーとなりました。以下、講演の概要をご紹介いたします。

開催日時等

  • 日 時
    2020年11月4日(火)13:30~17:00
  • 開催方法
    オンライン開催
  • 主 催
    株式会社東京海上研究所、東京海上日動火災保険株式会社

講演の概要

講演新型コロナウイルス感染症の時代を生きる
昭和大学 医学部 内科学講座 臨床感染症学部門 客員教授 二木 芳人 氏
二木 芳人 氏

講演概要

今、世界は継続してパンデミック拡大傾向にある。日本ではいわゆる0次予防策が備わっていた等の要因によって欧米に比べて感染拡大が抑えられているが、第二波のピークアウト以降、新規感染者数は高止まりの状況である。各種の経済活性化策が打たれており、秋・冬の気候変化も踏まえると、一人ひとりが一層の感染対策を講じていく必要がある。
感染症については、これまでに感染経路、感染予防策、初期症状、重症化因子、治療方針などが分かってきた。コロナウイルスはマイクロ飛沫によって感染(空気感染)するため、感染防止には3密の回避と換気の徹底が重要である。他方、免疫構築や抗体、感染病態、後遺症などは今後の研究が待たれる。
万一、重症者の増加によって医療体制のひっ迫・医療崩壊が起これば社会経済への影響も大きい。第三波の到来に備えて、今後もそれぞれの立場で基本的な感染防止対策を徹底するとともに、PCR検査の増加、医療提供体制の充実を図っていく必要がある。

講演コロナ対応と経済政策
東京財団政策研究所研究主幹
慶應義塾大学客員教授 小林 慶一郎 氏
小林 慶一郎 氏

講演概要

感染拡大を防止することが最大の経済対策である。自粛等の行動制限は時間稼ぎにはなるが、制限緩和をすると必ず感染が拡大し、経済コストも大きい。現在の感染症対策は、検査による感染者の特定、接触者調査と待機療養による隔離である。検査数は徐々に増えつつあるが一日20万件が必要と考える。幅広い検査は市場の感染状況に関する「情報の不完全性」を是正するため、経済政策としての公共性を持つ。現在は自費検査である低リスク無症状者についても公的資金で検査を強化することは正当性がある。
第一波での医療崩壊の危機は、医療資源不足ではなく病院や医師の配分の問題に起因しており、大病院の入院収益減少も著しかった。医療崩壊防止は経済を回す前提条件であり、第三波に備えて、スピーディな財政支援による重症者用病床の確保、病院間での医師等の融通の仕組みの整備等が必要である。
コロナ危機が長期化するとの見通しに立てば、今後の経済政策は、従来の資金繰りではなく、キャッシュフローを増大させるための事業構造改革と、債務調整メカニズムの強化に軸足を移していく必要がある。

以上